階段中腹にさしかかったとこで

姫香に声をかける

「あ、姫香。それ…」

姫香の足元を指さす。

「え?何??」

姫香が下を見ようと立ち止まり

かがんだ。


すぐに後ろにまわる。


両手を、前に突き出した。


コレガ イチバン タダシイヨネ?







ドン…

「え?・・・きゃあああああああっ」

鈍い音を響かせて

階段を転がり落ちていく。姫香。

下まで落ちると、ぐったりと力を失った。

アタマから出血している。

なんて滑稽なの?笑みすらにじみでてくる。

「はは・・・あははははっあはははははは」

両手に姫香を押したときの感覚がまだ残っている。

目の前の光景はとても気分がいいものではないけれど。

私がコレをやったのかと思うと…

「・・・サイッコー」

憎い女。あんたなんか幼馴染じゃない。

何度そう思ったことか。

ま、もうどーでもいいか♫

「今朝のトマトの色みたーい(笑)」

アタマから鮮血を流して倒れている姫香を見て

朝食べたトマトを思い出す。

トマトの色より毒々しいけど。

「さて…もうひと頑張り・・・」

そうつぶやき私は

息をめいっぱい吸うと

「きゃああああああああああああああああああああっ!」

まるであたかも絶望したように

叫んで見せた。