その日の朝礼も学年主任の村井の声が響いた。
声が大きいけど、背は小さめのハゲかけたオッサンだ。

「ねーねー真子c」

後ろに並んでた姫香がこそこそと話しかけてきた。
身長が同じくらいなので、背の順に並ぶと近いことが多い。

「何?」

と、一応声を殺してたずねた。

「次体育だけど、私たちなんにも持ってきてないから、
急いで教室戻って取りに行った方がいいよね??」

確かに周りをチラっと見ると、シューズやデオドラントスプレーを
もった女子ばかりだ。男子は持っていない…教室で保健かな?

「そーだね。じゃ、朝礼終わったらダッシュで取りに行こう」

「うん!」

あ。

「こらっ!そこ2人!私語するなよ!」

姫香の元気のいい返事で村井にバレたようだ。
叱る声はさらにでかい。耳がキンキンする・・・

「ごめんね?」

後ろから姫香がこそっと耳打ちしてきた。
やっぱりこの素直さがモテる理由の一つだろう。

「全然いいよ^^」

私も思わず笑顔で許してしまう。