その夜は聖奈が無理を言って、あたしの家に泊まることになった。


なんか「あたしぃ~、俊くんと一緒じゃないと寝られな~い」とか言って。


その“俊くん”は笑顔を引きつらせていたけれど。



「俊くん。もう寝よ?聖奈疲れちゃったぁ。」


あたしの作った肉じゃがとカレイの煮付けとあさりの味噌汁を完食し、お風呂にじっくり浸かって、あたしの小さくなったパジャマを着た聖奈は俊哉の腕の中でまどろみながら言った。


「んー。すぐ行くから先寝てろ。俺、カズに話すことがあるから。」


「えぇ~・・・。わかった、待ってるね。」


そう言ってすぐに寝息をたて始めた聖奈をお姫様だっこし、俊哉は二階に運ぶと、リビングのソファに座った。


無論テーブルの上には、砂糖3杯のコーヒーと、マドレーヌとフィナンシェが置いてある。


聖奈のフランスのお土産で、超甘党の俊哉へのものだ。


静まりかえり、時計の秒針の音が響くリビングに二人でいる。


「・・・俊哉。話って何?」


「・・・カズ。・・・・いろいろとごめん。」


いきなり謝らないことで有名な(?)俊哉が頭を下げた。