俊哉はその小さな体をしっかりと受け止め、笑顔を引きつらせて言う。


「な、な、何でお前っ・・・。」


「何でって、連絡したよ?今、行くからって。」


「本当に今になって連絡されても、困るんだよ!メール来て、階段降りたら、お前もうそこにいただろ!!」


「家行ってもいないから探してたんだよ?でもセーナ、直感力すごいから一軒目で当てちゃった☆」


・・・セーナ?


ま、まさかこの黒キャップがあの“セーナ”っていう彼女・・・?


「そ、そうですかー。それはそれはすごいですねー。」


珍しく俊哉が敬語を喋っている。非常に珍しいことだ。


まぁ、棒読みもいいところだが。


「でしょ?もっと褒めて、俊くん!!・・・で、こいつ誰?」


セーナはあたしを指差して、眉間にしわを寄せた。


「・・・この家の住人。俺の幼なじみ。で、俺の」


「俊哉の幼なじみの渡瀬 和紗ですー。以後よろしくー。」


わざと俊哉の言葉を切る。


俊哉よりも最高の棒読みに加え、“幼なじみ”を強調してやった。どうだ!