僕はまた独りになった気分だった。遂にハインリヒも発狂してしまったのだ。彼は一日中笑いっ放しだ。いつもの無邪気な笑顔ではない。僕等を、否世界中を否定して嘲笑っているようだった。そう言えば、3日前から様子がおかしかった。僕と話すときは普段と変わりなかったが、そうでない時の目は虚ろで、言い表す事の出来ない哀愁に満ちた様子だった。今思えば、彼は誰よりも苦しんでいたのかもしれない。僕がその時に気付けば良かったのだ。今更、後悔は遅いが。
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