不思議だ。まだ会ったばかりなのに、何となく落ち着く気がする。僕は彼らの会話を聞いていた。アンリはヘンドリクスと楽しそうにテーブルの辺りで話をしている。エンリコは一人で僕の部屋においてある唯一の装飾品、白いキャンドルを見つめている。只、見つめるだけで、決して触れようとはしない。会ったばかりだから遠慮しているのかも知れない。ハインリヒは猫のヘンリクを撫でている。優しく撫でている。ハインリヒは純粋そうな子だ。現代には珍しいな、と思いながら、彼といつの間にかその小さな膝の上に移ったヘンリクを見ていた。