「虎助……、」


 涙を必死に堪えながら、その手を握った。


「……大丈夫」
「え、」


 囁くような虎助の声が耳に届く。


「何もしなくても大丈夫……。太陽が昇る前に起こして……」


 頷く。

 そして、手を握り直す。


「あり、がと……」


 虎助はそのまま眠ったようだった。


 私は寝間着の袖を破り汗に拭ってあげることしかできなかった。