そう。そうよね。無理よね。分かってる。

 分かってるけど、あなたの声を聞いて気持ちが溢れてしまったの。

 そっちの世界に行きたい。あなたに会いたいって。

 会いたいって……。

『無理なんだ』

「……」

 泣き声をジンに聞かれないように、震える唇を噛み締めた。

 姿が見えなくて良かった。こんな悲惨で情け無い泣き顔を見せたら、ジンに心配かけるところだった。

 無理だって事、知ってる。

 だってあたし達は結ばれない運命だから。

 ……また、お別れなのね。

 あんなに苦しい別れを経験したのに、また別れを乗り越えなきゃならない。

 そして今度こそ、本当の別離なんだ。

 ホロホロと涙が零れ落ちる。

 いくら泣いても奇蹟は二度と起きない。

 あたしはこっちの世界で生きるべき存在。それを間違えてはいけない。

 でも、こんなの、辛すぎるよ……。

『……で、お前が来るのは無理ってことで、オレがそっちへ行くから』

「……」

 ……は?

 なに? 誰がどこに行くって?

『神々の力が完全に回復したら、オレがそっちの世界に行く』

「……えっ!?」

『いつになるかは分からないけどな』

「ええぇぇーーーー!?」

 来る!? こっちに!?

 ジンがこっちの世界へ来るって!?