イフリートの精悍な顔立ちと、ノームの可憐で可愛らしい仕草が目に浮かぶ。

 うん。あたし達、ずっとずっと友達よね。

 約束したものね。

 ずっとずっと一緒よね……。

「ねぇ、ヴァニスはどうしてるの?」

『……あいつの事が気になるのかよ』

「ジン~、ヤキモチ焼かないで教えてよ」

『あいつも、何かが吹っ切れたみたいにやたら元気に張り切ってる。とにかく今は人間社会が大変なもんで、あいつの仕事も山積みだ』

「大変そうね? 大丈夫なの?」

『毎日ぶっ倒れるまで働くんだぜ? 治癒するこっちの身にもなって欲しいもんだ』

「ジンが毎日ヴァニスについてるの?」

『あの嫌味ったらしい性格についていける精霊は、オレぐらいのもんだからな』

 ……。

 ていうか、ヴァニスが嫌味を言うのって、ジン限定のような気もするんだけど。

 徹夜で仕事をしようとするヴァニスを、気絶させて休憩をとらせただの。

 3日も風呂に入らなかったから、湖に蹴り落として水浴びさせてやっただの。

 仲が良いのか悪いのか判断に困る話ばかりだけど、それなりにうまくやってるみたい。

『ここで自分は生きていく。自分の望みはここにある、とさ』

「うん」

 居るべき場所を間違えるな。ヴァニスはそう言った。

 ヴァニスが生きる世界はそこにある。

 精一杯、全力で彼は生きていくんだ。自分の居場所で。

『そうそう、あのおっかねぇ侍女長、マティルダの教育係になったぜ』

「うえぇ!? ロッテンマイヤーさんがあ!?」

『甘ったれ根性を叩き直すんだとさ。毎日マティルダが気の毒でなぁ……』