『存在よ、あなたの中にあの世界があるのですか?』

 ……有る。

『神も、精霊も、人間も、全てがあなたの中にあるのですか?』

 有る。全てがあたしの中に。確実に。

『ならば、世界の意思であるあなたに問いましょう』

 ……。

『存在よ、あなたはわたしの復活を望みますか?』

 あたしは、止めどなく涙を流しながらハッキリと断言した。

「あたしは、絶対に拒絶する」

『……承知』


 その意識と共に、漆黒一色に染められていた世界が変わった。

 突然、目の前にぽつぽつと小さな光が現れ始める。

 その光はひとつ増え、ふたつ増え、次から次へと目移りする間も無く、一面見渡す限りに広がっていった。

 無数の様々な色を放って輝く光の渦。

 これは、なに? 星?

 ……いや、違う。

 これは命だ。

 あの世界で消えた全ての命が、ここに再生され始めている。

 始祖の神復活には、人と神と精霊が望まなければならない。

 あたしの絶対の拒絶を、始祖の神が受け入れたんだ。

 望まれぬ以上、破壊を成すことは許されない。それが世界の摂理。

 始祖の神は再び眠りにつき、成された破壊は消滅する。

 世界は、復活するんだ。そして皆、再び生き返る。