「え?」

「何で教えてくれなかったの?!ファンだって知ってたでしょー?」

「…そうだったっけ?いや〜言うチャンスがなくてさ〜」

「ウソをつけ、ウソを…」

鳴海は千歳の睨みを軽く受け流すと、兄の方を見た。

「…何はともあれ、おめでとう兄さん…長かったね…」

鳴海弟は頬杖をつくと、微笑んだ…

「うん…ありがとう…静君には、頭が上がらないなぁ…」

「…一生恩に着てね」

ニヤリと笑った弟に、兄は嬉しそうに答えた。

「…喜んで…」

そのやり取りを横目で見ていた里美が、ため息とともに呟いた…

「あ〜あ…なんだか焼けるわ〜」

「え?何がですか?」

カウンター内の千歳が、コーヒーをすすりながら聞く。

「…だって…この兄弟、仲が良すぎるんですもの…」

「ああ…なるほど」

「…里美さん、それは誤解ですよ」

鳴海弟が兄越しに、きっぱりと否定してきた。