どこでもドアのようなセットの扉が置いてあり、男は鍵を開けて中に入ると、テーブルの前に座った。

「今日も疲れました…人間は働かないと、生きていけないんですね…ああ、お腹も減りました、不思議な体験です。ああ、それに寒い寒い…あ・灯油を切らしてましたね…フフフ…人間て大変ですが、面白い生き物ですね…」

男は幸せそうに笑いながら、ベッドに入った。



また場面が暗くなり、今度は街角の雑踏の音が流れ始めた…

車の通る音、人の歩くざわめき…

パッと、ライトが一点を照らすと、男が手で胸を押さえて立っていた。

一枚のパーテーションが立てかけてあり、ポリバケツが置いてある。

男はそっと、パーテーションの向こうを盗み見ると、急いで首を引っ込めた。

「ああ…やっぱり彼女です。こんな街中で出会えるなんて、何てラッキーなんでしょう!ああ、ドキドキが止まりません…でも…隣にいる男の方は、誰でしょうか…?まさか、恋人だったりして…」

男がもう一度のぞくと、今度はゆっくりと体を元に戻して、悲しげにうつむいた…