「あ、里美さん、そろそろ時間じゃ…」

「キャ〜もうこんな時間?急がないと、部長にしかられるわ〜」

食事の後のんびりしていたら、演劇部のリハーサルの時間になったらしい…

「ごめんね静君、一人で大丈夫?」

「うん、平気…」

心配性の兄さんに笑顔で答える…

「静時君、今日はありがとう。一緒に回れて楽しかったわ〜」

里美さんは、かがむと自分の目の高さで笑った…

「じゃあ、静君また後で…見に来てね」

「3時から体育館よ〜絶対来てね〜」

急ぎ足で遠ざかる二人の姿が、人ごみにまぎれて行く…

その背中を見ていたら、ふと、ある予感が胸をよぎった…

″もしかしたら…″

ナゼか…さびしい感覚も一緒に通り過ぎたけど…

にぎやかな、お祭りムードにまぎれて消えていった。

また会えるかもしれないなぁ…あの子には…

Fin