「大丈夫、和美ちゃん。私も思っちゃったから〜♪」

光田さんの手を握りしめて、ほんわかと笑っているのは、間違いなく…

「里美さん…とどめを刺さないでもらえますか?」

兄さんがガクリと、うなだれる。

「じゃ、結論も出たし、オレら行くわー」

八崎さんがそう言うと、他の人達もワラワラと散り始めた…

「それじゃーなー弟君。皆また後でなー遅れるなよー」

「あ、待って部長、私も行くわー。じゃーね、ゆり君またねー」

やじ馬が去って行く…
パンダの気持ちが分かった気がする…

やれやれと兄さんを見上げると、半泣きで抱き着いてきた。

「ごめんねー怒ってる?静君」

「…ぜんぜん…気にしないで兄さん」

学校の校門前で抱き合っている自分達を横目に、一般客が通り過ぎて行く…

どちらかと言えば、早くその事実に気づいて欲しいな…

「鳴海君、かなり目立ってるわ〜そろそろ行かない?」

「え?ああそうだね、静君とは久しぶりだから、つい…」

兄さんは照れながら自分から離れると、優しく笑った。

「…あれ?里美さんは、行かないの?」

今、やっと気づいた兄さんが聞く…