†

「鳴海君…!」

「…はい?」

突然…イスに座っていた里美さんが立ち上がり、険しい顔で自分を睨んだ…

(ように見えた…)

「…今の所…どうして、そうしようと思ったの?」

「え…何となく…」

…あまりにも下手くそ過ぎて、失望されたのかな…と思いかけた時…

「天才だわ〜!」

「へ?」

「キャ〜すごいわ鳴海君、完璧よ〜私が思い描いてた通りのセリフ回しだったわ〜」

里美さんはいたく感激したようで、自分の事を尊敬の眼差しで見ている…

自分って才能あった…の…かな…?

「おい、鳴海君」

ツツツ…と部長の久川さんと、照明担当の光田さんが近寄って来て…里美さんに聞こえないくらいの小さな声で、ささやいた。

「…里美君に褒められたからと言って、いい気になるなよ…」

へ…?あまりにも恐ろしい顔で言われて、声も出ない…