(今、十九歳ですって?ワイン飲むんじゃないわよ!未成年が)

『鳴海』という会社は、私をどこまでバカにすればいいのかしらね?!

「綾子さん…率直に言って、この婚約はおかしいと思いませんか?」

「はい?」

「実に無理があります…兄がダメなら弟…なんて変でしょ?綾子さんだって、こんな失礼な年下男と結婚なんて、バカげていると思いませんか?」

「…分かってるじゃないの…で、一体何が言いたいのかしら?」

何となく分かってきたわ…この男は、わざと私を怒らせて自分の印象を悪くしているのよ…何が目的か分からないけど…

まさかまた、彼女がいるから結婚出来ませーん…とかじゃないでしょうね?!

「…実は私、社長の座から降りようと思っているんですよ…」

「…何言ってるの?あなた」

「向いてないですよ、社長…」

「…だとしても、そんな事出来る訳ないじゃないの…」

「いえ…出来るんですよ、綾子さん…そこで相談なんですが、一つ協力して頂けませんか?」

ビジネス・スマイルとしては完璧と言える笑顔を作り、私を口説いてきた…

…社長…向いてるんじゃないの?!本心が見えないわよ…あんた…

「…話を聞こうじゃない…」