「まぁまぁ、心配ないから。ボクらだってやってこれたし、犯罪さえしなければ問題なしだよ」

長沢のフォローに、犯罪って?と心の中で鳴海と里美が呟く…

「単車、酒、タバコ、女…」

ニヤリと笑って八崎が頬杖をつくと、長沢が咳ばらいをした。

「…んじゃ、明日から特訓な」

黙って話を聞いていた里美が、あわてて口を開いた。

「それは困ります、公演が近いから練習です!」

「ああそうか、演劇部だったっけ」

長沢が言うと、八崎を見た。

「しゃーないな…じゃ、それが終わってからな」

「すみません」

「いいって」

「他に分からない事があったら、これに資料が入ってるから見てね。それからパスワードを教えなくっちゃ…」

そう言うと、長沢がメモ用紙に『悪霊退散』と書いた。

これを決めたのは、長沢に違いない…

「会長の判は、そこの引き出しね。カギはこれ、この部屋のカギはこれ…」

長沢がテキパキと引き継ぎを行っていく…
それを見ながら、八崎は笑うと言った。

「たまに遊びに来るから、よろしくな」

「ああ…この部屋は本当、居心地良かったもんね。ここだけは、ボクらの自由に出来た唯一だね」