木下君は微笑んだような優しい顔をして、あたしに近づき、



一瞬ニヤっと意味ありげな笑いを浮かべたかと思うと、



「じゃあ、俺はジュリエットは…優にやってほしいな…」



と、あたしの耳元で小声でささやいた。



・・・・・え?



・・・・・・・・・・はっ?



木下君…??今、何とおっしゃいました??



あまりにも突然にそんな事言われて、あたしは赤面状態。



「な、何言ってんの??なんであたしが…」



「え?だって、どうせなら好きな子との共演のほうがいいでしょ??リアルな感じで…」



木下君はそうまた耳元でそっと言い終わると、何事もなかったかのように、涼しげな表情で他のメンバーの輪の中へと行ってしまった。



「…………」



そして明らかに動揺を隠せないあたし1人がそこには取り残されていた。