「来斗君、今日は練習来るの、早いじゃん」



先輩の1人が木下君に声をかけた。



木下君はみっちゃんからもらった台本を大事そうに抱えながら、



「そりゃあ、主役は気合いが入りますよ!!」



と、嬉しそうに言った。



そうなんだ。



文化祭の出し物・・・・・演劇、現代版にアレンジした『ロミオとジュリエット』



ロミオの役は当然男の子の木下君に決まっていた。



「ジュリエットを誰にするかだね……」



その先輩は木下君を眺めるように見ながら、考え込むようにつぶやいた。