『優、これ見て!』って言う木下君。



『ねぇ、優』ってあたしを見る木下君。



あたしは『木下君』って呼んでるのにね。



何故か、イヤって言えないの。



憎めないキャラの木下君に、そう呼ばれることにいつの間にか慣れていたあたし。



なんで男の子が演劇部??って最初は不思議だった。



でも、遅刻ばっかりだけど、練習には必ず顔を出すし、大道具なんかの重たい物を扱う時は積極的に手伝ってくれる。



よく考えると、今の演劇部にはなくてはならない存在なんだよね。



「やっと、来た、来た!」



他のメンバーも続々と入って来た。



みっちゃんは1人、1人に台本を渡していく。