「もうみんなも知っていると思うが、麻賀は転校することになってな…。麻賀、前に出てひと言何か言ってみろ、なっ!」



担任はそう言うと、修人を前に呼んだ。



修人は少し照れくさそうにしながら、前へ進み黒板の前に立った。



ザワザワしていた教室が静かになって、みんなの視線が修人に集まる。



いつもはふざけてばかりいる修人も、なんだか少し考え込んでゆっくり口を開いた。



「俺はサッカーが好きで、その大好きなサッカーで世界に通用するような実力をつけたい。だから、転校はイヤだけど…その夢を追うことにしました。もっと、この学校、このクラスにいたいけど…今日で最後です。こうしてみんなと仲良くなって、それから…大切な人にも出会えて…俺、この学校に入学してホントによかった。みんな…ありがとうございました」



そう言い終わると、あたしを見て微笑む修人。



『大切な人』に出会えて・・・・・って言葉があたしの心の中に響いていく。



修人の最後のお別れの言葉にクラスのみんなが拍手してくれた。



修人と仲のいい田神(たがみ)君は泣いちゃってるし・・・・・