『ロミオ……愛してる…空の闇よりも深くあなたを…』



不思議・・・・・。



普段のあたしなら恥ずかしくて言えないようなセリフも、



「ジュリエット」としてのあたしなら普通に言えるんだ。



木下君もロミオのセリフを言うその時間は、



「木下君」ではなくて「ロミオ」になる。



表情も声のトーンも「ロミオ」になりきる。



演じている時は、あたしの愛するロミオ。



木下君ではなくなる・・・・・そこにいるのはロミオ。



ジュリエットをひたすら想うロミオだった。



お芝居ってこういうところが面白いのかもしれないな。



演じる楽しさは演じたものにしか分からないんだろうな。