あたしは、1人で座りながら台本を見始めた木下君のそばに行った。



「……?」



台本から視線をあたしに移し、少し首を傾げて見上げる木下君。



「あのさ…一緒に練習しない??」



「マジで??いいよ。セリフ合わせしようよ」



木下君はあたしのひと言に表情を和らげ、嬉しそうにそう言った。



木下君の隣りに椅子を並べてあたしも座った。



「……あれ??」



今日の木下君はメガネをしていなかった。



あたしの視線の意味に気づいたのか、



「あ、メガネ??今日はコンタクトなんだ」



と、木下君は少しだけ恥ずかしそうに言って笑った。