一方のクロードはあっさりとしたその反応に拍子抜けし、間抜けに口を開けた。


「ええー! クロードもパンドラなのぉ!?」


 しかし隣にいい反応をしてくれるキリエがいた。


「うん、まあ……えっ、“も”って……まさかキリエちゃんも!?」


「うんそうだよ! わたしとクレドもパンドラなの」


「えっクレド君まで!?」


 クレドよりも余程良いリアクションをするクロードは、まさか1日に2人のパンドラに出会うとは思ってもみなかった。



 極少数人口とは一体何なのか、学校で習った授業に初めて疑問を抱いた。



「俺のことはいい。それで、お前がパンドラであることと、何が関係あるんだ」


 逸れかけた話をもとに戻し、もう一度クロードに説明を再開させる。



「……僕のパンドラはテレポートなんだ。だからその、ここへ来るのも一瞬で」


「なるほどな」


「クロードすごーい。じゃあどこへでも一瞬でいけちゃうの?」



 聞いたこともないとんでもわざに、キリエは瞳をキラキラと輝かせた。
 自分の行きたい所へ一瞬で行けるなんて願ったりかなったりの能力である。



 クロードはそうだよ!と大見得を切るわけにもいかず、気まずそうに、恥ずかしそうに身を小さくする。



「……それが、情けない話、僕はパンドラの扱いが苦手で、思った場所には滅多に行けないんだ」


 クロードが今日この地へやってこられたのは、何回も何回もパンドラを使って、何回目かもわからない時に成功したからだ。


 砂漠やら、刑務所やら、遊園地やら、雪山やら、何度失敗しかもわからない。