特にわくわくもせず、
クラス替えの掲示を見る。

一喜一憂する生徒をかき分けてなんとか見えた。


『…B組だ。』


そしてまた、特にわくわくすることもなく
3年B組の教室へ。


とたんに、緊張で固くなる。


『…どうしよう。知らない人ばっかりだ。』あたりを見回しても2年生の時に同じクラスだった子が見つからない。


顔が分かる程度の男子は2、3人いたが
会話ができる人は0だ。


そもそも高校に入って話した異性は
定年間近の1年のときの担任くらいで…



ざわつく教室の中でこそこそと
出来るだけ静かに席につく。

大丈夫、こうして普通に座っていれば
一週間もすれば友達とは言えなくても挨拶するくらいの知り合いはできるはずだ。


暗すぎず、うるさすぎず、
聞き上手で、特技はなく、苦手もなく、


普通のクラスメートとしてクラスに溶け込めばいい。


そうやって乗りきってきたんだから
大丈夫。


『そんな夏子で大丈夫か、


大丈夫だ、問題ない。』

心で唱えてにやりと笑った。