「ねぇねぇ、今のって佐々木柊介くん??」


席に戻って再びメロンパンをかじりつくあたしに、グループの子達が目を爛々とさせる。



「うん、そうだよ。
教科書とか貸して欲しかったみたい」


「やっぱり2人って仲いいよね〜」

「そうかな〜」

「付き合ってるんじゃないの??」




はい、出ました。

今までの人生で何度となく言われたこの質問をこいつの口から聞いたのは、別に初めてというわけではない。


あたしの記憶上軽く10回は超えている。



「えー!?あたしと柊ちゃんが!?」


「うん。
だって昔からの幼なじみで、しかもマンションの部屋も隣なんでしょ??」





そうなのだ。

あたしとアイツはいわゆる典型的な幼なじみで、互いに親がシングルマザーということもあり多分物心つく前からずっと一緒にいる。


そんなあたし達が恋人だの夫婦だのとネタにされるのは仕方が無いことで、こういう質問を受けるのもまた日常茶飯事のようなものだった。