それからは2人で他愛ない話をして、まもなくお開きとなった。
…沙和ちゃんはまだまだ飲むようだけど。
玄関を出てすぐ右隣の角部屋。
701号室、そこがあたしの家だ。
中に入ってリビングへ行き電気をつける。
…相変わらず生活感のない部屋。
いつもと違うのはダイニングテーブルの上に一枚のメモが置かれていること。
あの人帰って来たんだっけ。
いつぶり?
だいたい1ヶ月ぐらいか。
かばんをソファに放り投げてその紙を手に取る。
見ると知らない住所が丸っこい字で書かれているだけ。
もちろんメッセージは皆無だ。
またか。
もう…本当、どうしようもない親だわ。
あたしは怒るでもなく悲しむでもなく呆れるしかなくて。
それを何の躊躇もなくクシャリ丸めてゴミ箱へ。
そしてシャワーを浴びた後、ベッドに潜り眠くもない目をひたすらに瞑って朝を迎えた。