「お前さぁ、マジで死ぬ一歩手前だぞ!
三途の川見えかけたわ!」
「ははっ。貴重な体験じゃん」
「笑い事じゃねぇよ!
しかも何で俺のカレーパンなんだ…」
「カレーパンで命が助かると思えば安いもんだって」
「俺とカレーパンの価値一緒にすんな!」
そんなくだらない言い合いを続けていたが、いつの間にか梓はまた夢の中へと旅立っていて。
ふいに上を見上げると、そこには満点の星空が広がっていた。
『星なんかただの宇宙の塵でしょ』
小学生の頃、梓が言った言葉を思い出す。
確かあの時も学校からの帰り道で、途中転んだ俺を梓が家までおぶってくれたんだっけ。
一番星を見つけてはしゃいでたのに、見事バッサリ斬りやがったのだ。
梓の自己中精神や冷徹さは昔から変わることがなく、俺はいつもコイツに振り回されている。
それが俺たちの関係というもので、これから先もずっと続いていくのだろう。
「…ったく、世話かけやがって」
後ろに向かってぽつり、呟く。
そして俺は幼なじみを落とさないように一回持ちなおすと、再び帰路を歩いて行った。