「…くっ、ちょ、離せバカ!」


「じゃあコンビニ」


「ふ、ふざけんな!殺す気か!!」


自分たちの言い合いがシンとした住宅街に響き渡る。

でもこんな命の危機に近所迷惑だとかいう考えまで回らない。



「あ、柊介。あたしあれ使うわ。
一生のお願い」


「はぁ!?
お前何回一生のお願い使うんだよ!!

つーかマジ離せ!」


「…はぁ」




グッ

「…んぐっ!」


ため息をつかれたと思ったら、さらに首をしめてやがる。

おかげで情けない声が出て、生理的な涙が滲む。


コイツ…本気で殺りにきた!



「あ、梓、マジやめろ!死ぬ!」


「…じゃあ、しょうがないから今日テーブルに置いてあったカレーパンで許す」


「は!?
あ、あれは俺が楽しみにして…いや、わかった!わかったから離せ!!」



その途端ぱっと首が解放されて、スーハースーハーと思いっきり息をする。


…あぁ、息をするって素晴らしいんだな。