田舎とも都会とも言えないこの街の住宅街は9時を回ると人通りがめっきりなくなって、無機質な白色の街灯も手伝ってかとても閑散としている。

そんな中耳に入ってくるものといえば自分が響かせる靴の音と、一定の速度で繰り返す安らかな寝息だけ。



今俺は背中に爆睡した幼なじみを乗せてせっせと帰路を辿っていた。



学校から駅、駅からの道のりでなんとか起こそうとしたものの全てヤツには通用しない。


こっちは部活で疲れてるってのに。


わかってはいたけど。

わかってはいたけど…いや、もうコイツに期待しても無駄だ。うん。






「…ん…」


そんなことを思いながら歩いていると、後ろでモゾモゾと動く気配。

どうやらやっと梓が起きたらしい。



「梓、もう夜だぞ」

「……んー…」

「お前ずっと学校で寝てたんだからな」

「…ねぇ…柊介」

「ん?」








「……あんた、すっごい汗臭い」