「…あった。
つーか何で机の上に置いて忘れてんだよ〜」
誰もいない校舎はなんとなく薄気味悪くて、心なしかいつもより速いスピードで教室までたどり着く。
中に入るとお目当ての古典のプリントの束が堂々とそこにあり、手にとって1人ぼやいた。
うわもう8時半かよ!
見たいドラマ絶対間に合わねぇ〜!
俺って今日マジついてないわ。
時計を見上げて更に気持ちが沈み、そういえば朝の占い最下位だった、なんてどうでもいいことを思い出した。
無事に用が済んだところで教室を出ようとドアに手をかけた瞬間、
タン、タン、タン
リノリウムと上靴のぶつかる音が微かに耳に伝わってくる。
誰かの足音のようだ。
え、とっくに完全下校時間過ぎてるよな?
先生達は職員室に居るだろうし、見回りも終わったってさっき警備員さんが言って…。
そこまで思考を巡らせ、途端に背中に冷たいものが走った。