日もすっかり落ち、世界が藍色に侵されていく。


キツイ練習が終わって俺はチャリ通の部活仲間達と自転車置き場に向かっていた。




「柊介知ってるか?
こいつ今日お前の幼なじみに告ったんだよ!」

1人が口元をニヤニヤさせながら当人と一緒に隣に移動してきた。


「マジ?梓に?」

「あぁ、あの梓ちゃんに」

「お前ら懲りねぇな〜!
玉砕だったろ?」




結果を聞かずともそう断言できる。

いつもアイツはネコを被って人の真剣な告白をはぐらかす。

なんでも、レベルが高く自分にふさわしい男しか相手にしないのだとか。



「玉砕っつーか…俺もよくわかんねぇけど、友達の方向で?みたいな」

「ははっ!
はぐらかされたのか!

梓ちゃんも酷だよな〜!天然でそれやってんだから」


この若干嬉しそうにバッサリ言う男も昔梓に告白した内の1人で、多分同じような手で振られたのだと思う。



他にもここのバスケ部には先輩後輩問わずたくさんの犠牲者が出ている。

俺の知る限りでは半数を超えており、もはや脅威以外の何物でもない。