――…
というわけで、私はため息をつきながらも自宅のキッチンでチョコレートを湯煎で溶かしているのだ。
徐々に溶け出すチョコレートからは甘い香りが漂ってくる。
ちなみに、先ほどキッチンに立っているところを弟に見られたのだが…。
「ね、姉ちゃん…何してんの…?まさかそれチョコレート作ってんの…!?」
と、目を見開いて驚かれてしまった。
「なに?ほしいならあんたにもあげようか?」
「い、いや。気持ちだけで…」
そう言って、そそくさと去っていく弟に内心イラッとしたことを思い出し、小さくため息をこぼす。
「バレンタインのチョコレートとか、作ったことないけど…まぁ、大丈夫だよね。溶かして固めるだけだし…」
難しいことはできないと思い、無難にカップチョコを作ることにした私。
大地には明日、学校で渡すか…。
そんなことを思いながら、チョコレートをゆっくりかき混ぜていた。