――キーンコーンカーン…。
その時、ちょうどよく始業を告げるチャイムが鳴り響く。
「ほら、チャイム鳴ったよ?授業始まるからクラスに戻らないと」
「わかりましたよ…とりあえず、教室戻ります」
未だに不満そうな顔でしぶしぶと教室に戻っていく本田侑都に私はホッと胸を撫で下ろしたのだった。
――昼休み
待ちに待ったお弁当の時間。
お腹が空いていた私はサッと、自分の机の上に弁当箱を取り出した。
その時。
「あさみ〜!侑都くん、あさみからのチョコレート欲しいんじゃないの?ケチケチしないでチョコくらいあげなさいよ。へるもんじゃないんだからさ〜」
と、友達の綾瀬瑞季が突然、そんな言葉を投げ掛けてきた。
「…?さっきから…意味わかんないんだけどさ〜、なんで私が本田侑都にチョコレートをあげなきゃいけないわけ?」
「なんでって、今日バレンタインデーだよ?」
なるほど!
瑞季の言葉に私は納得したように頷いた。
朝からなんかザワザワしてると思ったら、今日バレンタインデーだったんだ。