その時。


「…あれ?蘭…?」


名前を呼ばれて、ハッとしたように私は顔をあげた。


「大地…」


そこには、不思議そうな表情で私を見つめる大地がいて…。


先ほどまでいた後輩らしき可愛い女の子は、すでにそこにはいなかった。


「大丈夫か?なんか元気なさそうだけど…あっ、もしかしてチョコ作ってきたんだろ?」



大地は、そう言ってニコリと優しく微笑む。


…さっきの子にもそんな笑顔を向けたわけ?


無性にイライラした。