あぁ、鍵はお父さん達が持ってるままだった。

まさかの野宿かよ!
私は扉を蹴り、門の側に座った。

「誰だ?」

低いが可愛らしい声が聞こえた。きっと私の事だろうと思い、後ろを向いた。

「……っ!!」

黒髪のショートにヘアピンが特徴的な謎の美少女が私を睨んでいた。
鬼女。それ以外に彼女の事を表す言葉がなかった。

「おいおい、花蓮。お前はもうちょい笑えよな」

遠くから男の声が聞こえた。

「父さん!」

父さんと呼ばれた人は、肩まで届くボサボサの黒髪の人だった。
正直、顔だけはタイプだ。
でもあの髪型じゃあモテないだろうな。

その人は目の前の光景に驚いているのか、ジロジロ見ている。
ぼーっとした目つきだが、恥ずかしい。

クスッと笑うと私の頭を撫でる。
側にいた、小さい女の子も
「可愛い」と言いながら、一緒に撫でている。

よく撫でてくるな。

「うさぎさんみたいだ」
「そうだな、花蓮」
「本当に可愛い……」
「いい加減にしてください!!」

大声で怒り叫ぶ。