あたしの1日は、大好きな旦那様を起こすところからはじまります。



「いっくん起きてー、朝だよー」



布団の中に眠るいっくんを、めいいっぱい揺さぶっても、まったく起きる気配なし。

…。
旦那様は朝に弱いのです。



「いっくーん」

「……ん」

「ん、じゃないでしょー…起きて、いっくん」



いっくんこと、西山伊織は、あたしの旦那様です。


ってことで、あたしは西山紗陽。

21才の専業主婦です。
平凡です。



「…もー…知らないよ?遅刻しても…」



ここでマル秘情報。



いっくんは、中学校の先生をやっているのです。