そして、なんとか一之瀬くんも女子を追い払ってこちらに向かってきた。




「悪いな、なんか変なとこ見せて…」



「ううん。一之瀬くんすごいカッコいいんだから、女子がほっとかないの当然だよ」



「…っ!」




わたしのその言葉に、一之瀬くんは耳まで真っ赤にして照れている。





一之瀬くん可愛い…



なんて呑気にもそんなことを思っていた。






それを見ていた上城くんは、可愛いの欠片も無いほどの、黒いオーラを全身に放っているというのに…




そんな変な空気を出しているわたしたちを、香織は「あちゃー」という感じで見ているだけだった。





「真夕先輩!」



「え、何?」




突然、名前を呼ばれて上城くんの方に向き直る。



それと同時に、上城くんは真剣な顔つきで、わたしを見つめてきた……