『藤…也?』
呼びかけても、返事はない。
重い足取りで、横たわっている藤也に近づき、藤也の横にしゃがみ込む。
藤也に触れると、まだ暖かくて、今にも目を覚ましそうだった。
『ねぇ…藤也、起きて?遅刻…するよ?』
そう言って、身体を揺さぶってみる。
何か生暖かいものに、触った気がして、自分の手を見る。
ーーーー手には真っ赤な血が。
私はそれを、ぼんやりと見つめた。
救急車のやってくる音が聞こえる。
数分後、救急車が到着し、藤也の身体は救急車に乗せられて、連れていかれる。
私は、あなたも行きますか?と聞かれても、答えることができなかった。
玲がやってきて、 何か話しをつけてくれている。
その後のことは、あまり覚えていない。
そのときの私には、『藤也が死んだ』という事実を受け止めることができなかった。
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