私もつられたように前を向く。



…あ…。



私の目の前にはーーー藤也の席。



「ご、ごめんね!…まだ、元気になんか、なれないよね…。本当にごめん!」


沙月の方に顔を戻すと、沙月は両手を合わせ、私に頭を下げていた。


「そ、そんなことないよ!私もう元気だよ?だから、そんな謝らないで!」


私は大丈夫だから、と沙月に顔をあげるように言うと、沙月は顔をあげた。


「華奈…。無理しなくていいんだよ?まだ、2週間しかたって無いんだし…。」


沙月は悲しそうな顔をして言う。


「もー、本当に大丈夫だって!そりゃあ、まだ忘れれないけど。でも、今はもう平気なの!ね?」


精一杯元気に振舞うと、沙月は不満そうな顔をしながらも、頷いて話題を変えていく。