「その後…、なぜか、ルイはここを飛び出して行ってしまったんです―――。

義父が、あなた達に知らせるべきだ、と言いますので………」

「飛び出した?どこに?」

「わかりません。

ただ、彼女に電話がかかってきて、そして、

車を今すぐ出して欲しいと言って、飛び出して行ってしまったのです…」

「なんだって?―――その電話の相手は誰だっ」



 朔也が血相を変え、セシルに問いただす。


 セシルはその迫力にビクッと震えあがり、口をつぐむ。


 ピエールが朔也の肩に手をかけて、朔也を押し留めた。



「なにがあった?詳しく話してくれ」


 ピエールの静かな口調に促されて、セシルは思い出すように微かに目を細めた。


「…女性の声で、彼女に電話がかかってきて、

それを受け取ったルイは一瞬絶句していたように、見えました。

電話を切った後、顔色が蒼白になり、

思い詰めた様子で、その電話を睨んでいました…。

どこに行くのか、と尋ねても、答えてはくれず、

私達に決して一人になるな、と言い残して、部屋から出て行ったのです。

―――…ルイに、なにか、あったのでしょうか………?」



 セシルは心配そうに眉をひそめ、二人に聞く。

 瑠哀に何があったのか聞きたいのは、二人の方だ。