俺は昔から残念なやつだ。
なんつうか、主役にはなれないタイプ。
だから。
多分、俺にとっては奇跡でも。
きっと、それは物語の中では
ほんの数ページのもので。
主線の内容には全く関わらないことなんだろう。
「じゃあ」
昨日と同じ駅。
昨日、加藤さんが見上げていた電光掲示板。
「え?」
「あ、俺、こっちなんだ」
言った後、しまった、と思った。
「…じゃあ、昨日って…」
ほら、やっぱり俺は残念なやつだ。
若干のストーカー行為がばれてしまったではないか。
「ありがとうございました、わざわざ…」
「あ、いや…」