「かいちょー」

朝とまったく同じ温度と台詞を携えて登場した千田にどこかホッとしつつ自然と目はその人を探す。


「あ、いた」


いた
って、そりゃ当然か。

このクラスだもんな、そりゃ居るよな。


やっぱり俺、なんか動揺してる。


何を?何に?何で?


「んー?あ!またかとちゃんですねぇ?」


ぷくーっとなぜか頬を膨らました千田は頼むより早く
「かとちゃーん!」
と、加藤を呼んでくれていた。


彼女が近づいてくる度に早くなる鼓動が、なんだかすごく恥ずかしい。

この騒がしい学校で、
聞こえるはずもないのに。



「こんにちは」


にっこりと、綺麗に笑う彼女は
こちらにそう言ってから千田の方を見る。


「あ、あのね!かいちょーが呼んでるの」


二つ結びの髪をヒョコヒョコ弾ませながらそう言う千田。

一方の加藤は落ち着いた雰囲気で綺麗な微笑みを携えてこちらを見る。



「あ、ごめん帰るところ、あの、生徒会のことで、お話できればと‥」

あぁ、もうなんだこれ、カタコトすぎる。


たった一言を言うのが難しくって、もどかしい。