乗り込んだ観覧車。
隆史は当たり前みたいに私の隣に座った。
「…亜紀」
言われた名前に振り向けば
彼の笑顔がある。
「俺もさ、好きだよ、亜紀のこと」
彼は好きっていうとき照れて真っ赤になる。
だけど、会長は少し微笑むだけで赤くはならない。
隆史はキスをする前に耳たぶを触る。
会長は、どんな風にキスをするんだろう。
好きな人にはどんな風に触れるんだろう。
「…亜紀?
なんで、泣くの?」
「え?」
気付いた時には、泣いていた。
何でだろう。
一つ言えるのは。
会長に、会いたい。
「…隆史、ごめん、私……」