ねぇ、会長。


そんな顔で
そんな泣きそうな顔でもまだ、

「そんなこすったらブスになるぞー」

笑って言って、私に気を遣うあなたを。


あなたのこと守りたいって思ってしまう。


告白された。

それを振った。

だけど、
今、あなたを支えたい。

守りたいって、確かに思ってしまっている。



人一倍優しいから、
人一倍疲れるんだろう。

いろんな人に気を遣うあなたを支えられたらって、思うんだ。




「加藤!ほら、こっち」


心の声に気付かないで。
私の気持ちに気付かないで。




ずっと向こう、遠くの方で輝く花火。




この花火と一緒に、
私の思いも散って消えればいいのに。


…忘れなきゃ。

思ってんのに。
思っているのに。






握った左手を、どうしても、離せなかった。