「あ!」 突然吹いた風。 全く動けなかった私の横、 影が動いて、 彼は、気が付けば柵の向こうに居た。 …嘘。 駆け寄ったんだ。 屋上の柵の向こうまで、 何のためらいもなく、 柵を飛び越えたんだ。 なんで、あの人は、他人のためにそんなこと出来るんだろう。 「ふ、ははははは!」 グラリ、心が揺れた音がした、その時。 「会長…?」 笑ってる。 彼、笑ってるんだ。