ゆっくりと微笑んだ加藤は
やっぱり綺麗で。


「はい。すっごく、楽しいです。」


そう言ってくれるなら。
もう、いろんなことどうでもよくなった。




「うん、よかった。
…よかった。」



やっぱり胸は痛む。

加藤が好きな“タカシ”は、どんな人なんだろう。

その人になれるなら、どんなにいいだろう。

加藤に好きになってもらえるって。
どんなに幸せなんだろう。

って。

だけど、今。
加藤が楽しいなら。

この町が楽しいなら。


それで、俺は。
それだけで。




もう、全部いいのかもしれない。




「あ!そうだ!これするか、」


思い出して取り出した花火。
加藤の目が輝いたのを見て、やっぱり笑ってしまった。


「え?なんで笑うの?」

「いや、別に。」


可愛いから、なんていうのは、あまりに悔しいから。


「なんですか?気になりますって!」
「加藤、パンダみたいになってるぞ」
「え!?」


携帯の画面で必死に確認する姿にまた笑ってしまえば
加藤は怒ったようにこちらをにらむ。