『…え?』
かまったように黙り込んだ加藤。
ズルいよな。
ごめん、と。
なんでもない、そう言おうとした丁度その時。
『良いんですか…?』
控えめな声が聞こえてきて。
「…え?」
驚きすぎて。l
先ほどの加藤と全く同じ言葉を返してしまった。
良いんですか?って。
え?
良いんだよ。
つか、俺が誘ってるんだよな?
あれ?ん?
『あの、いいんですか?本当に』
もう一度、伝えられた言葉からは
俺の願望かもしれないけどほんの少し明るい声を含んでて。
もしかして。
もしかしたら。
「駅まで一人で来れる?」
『子どもじゃありませんから。』
彼氏と行くために場所を聞いたんじゃなくて。
俺との電話のために、場所を聞いてくれた?
でも、なんで。
彼氏と会った後で。
「気をつけてな。
…待ってるから。」
『…うん』