「うん、どうした、加藤?」
『あ、うん。ハイ。ごめんなさい、突然。』
あぁ、こうやって受話器越しに聞いても加藤の声はいい。
変に甲高くなくて。
凄く、落ち着くんだ。
「いや、全然。」
『…いま、大丈夫ですか?電話』
「うん」
彼氏と会ってたくせに。
お前、俺のこと振ったんだぞ。
そんなことを心のどこかが思った。
だけど。
愛しさがそんな気持ちを
どこかに追いやる。
ダメだ。
好きだ。
『良かった。』
たとえば、この瞬間。
君がどんな風に笑ったのか、とか。
たやすく想像できてしまう。
それは、一見幸せなことのように描かれがちだけど、
実はすごく残酷なことだ。
会いたくなるんだ。
答え合わせを、したくなる。
『知ってます?今日、流星群なの』