「まぁ、そこ座れよ。」

と、何も無い部屋で言われてしまったので
迷った挙句、一樹というひとの前に座った。


「…お前も訳ありなんだろうし
話を聞きたい。が、いきなりはあれだから
とりあえず、俺の話からだ。」


僕が座るとコーヒーを差し出しながら
一樹というひとが喋りだした。








「――――…そんな感じで俺はユウを失ってから
基本、ラブホで暮らしてるようなもんだ。

何か他に聞きたいことは?」


この数分で一樹という人の
今までの事を聞いてみれば、

この人、僕と似てる…、と思った。

雄馬というひとのことを話してるときに
見せる、今にも泣き出しそうな笑顔は
とても痛々しかった。


「えっと、一樹さんはおいくつなんですか?
あと…、なんでこんなに物が無いんですか?」


どうでもいいけど気になった小さな疑問を返した。


「歳は19。
部屋に物が無いのは
必要が無いってのもあるが、
…ユウが恋しくなるから…。」


語尾はとても弱々しかった。